昨年11/3にららぽーと豊洲の紀伊国屋で開店のご祝儀に買ったうちの1冊。
第1回ポプラ社小説大賞の大賞受賞作ということで、当時ちょうど「王様のブランチ」で紹介されていて、「時間ものにまだこんなすごい奥の手があったなんて……。」という大森望の帯にちょっと惹かれた。
優先順位が低かったので今ごろ着手。ところがこれが止まらない。昨日一日で読了。
面白かった。
偶然手に入れた過去のある瞬間から3分26秒間を削除できる装置。
タイムトラベルでもパラレルワールドでもない。
過去の出来事を削除すると、それに起因する事柄のすべてが影響を受け、、、というところを割ときっちり書いているのがいい。
かつて広瀬正の『エロス』で、ほんの些細な違いから歴史が変わっていくという物語を読み、そこで展開される同じ人物が経験の違いから違った行動をとることで雪崩式に歴史が変わっていく描写に興奮したのを思い出してしまった。
しいていえば、主人公たちが小学6年生という設定の割には描写だけ読んでいると中学生ぐらいに感じるところがどうなんだろうという感じかな。
全体の構成としてここで終わってるのはどうなの?というのはあるにしても、時間物として新しいギミックを取り入れながら王道な展開が良い。
広瀬正の『エロス』については今現在古本でしか手に入らないのが残念。
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