a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『マンガ編集者狂笑録』 長谷邦夫 水声社

買ったのはここ
休み中に読み終えることができた。
一応小説ということで、マンガ編集者をテーマにした連作短編集。かな?
時系列的に戦後のマンガの変化を追い、その中で時代時代の編集者を実名で取り上げて読ませる。内面描写が多いのでかなり創作が入ってるとは思うのだけど、出来事としては基本的に事実なのだろうなぁ。参考文献で挙げられていた中ではジャンプの西村さんとマガジンの宮原さんの本しか読んだことがないのでよくわからない。
明らかに間違っているのは「宇宙少年ソラン」の作者を井上英沖としているところで、正解は宮越宮腰義勝。井上英沖の同種のタイトルとしては「遊星少年パピイ」ですね。
それはさておき、貸本以前の時代に、漫画家に自由に描く場を作ることで漫画家を育てた人たちから始まって、ヒントを与えたり向き不向きを考えて誘導した時代、原作をつける時代という編集者の役割の変遷が描かれていて興味深い。最後の長崎尚志の場合は編集者の枠を飛び出してプロデューサーになっている。振り返ってみると、過去の編集者もみんなプロデューサーだったのね。
知っている漫画家、知っている作品などの話も、知らない時代の話も合わせて面白かった。

マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)

マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)