a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『鏡の国のアリス 広瀬正・小説全集・4』 広瀬正 集英社文庫

買ったのはここ
鏡の国のアリス」「フォボスとディモス」「遊覧バスは何を見た」「おねえさんはあそこに」の4作を収録。初出不明。
鏡の国のアリス」は、発端が銭湯だということと、途中の鏡についての説明の部分は覚えてたけど、それ以外はきれいに忘れてて、結末もまったく思い出せなかったのでどうなるのかと楽しめた。今読むと銀座の地理に関する描写がかなりあって、これは昔読んだ時にはさっぱりわからなかっただろうなと思う。今はちゃんとわかりますよ。今も残ってる建物の話がほとんどだし。左利きの不便さについての話がたくさんあって、実はサブテーマとしてその話があったのかと。
フォボスとディモス」は、今読むとかなり古い男女観がベースにあって、若い人には納得できないかも知れないなぁという話なのだけど、まあそういう時代だったのよ、ということですね。
「遊覧バスは何を見た」は、大正時代に始まって、最後は執筆時期を追い越した近未来につながっていく。うちの前に止まった遊覧バスから降りた人が、王と嘔吐する。今だったら人のうちの前で何するんだと怒鳴るとこか?この時代は介抱するのが当たり前。そこから話が始まる。
「おねえさんはあそこに」は、赤ん坊の話だったはずなのに、という意外性。
どれもおもしろい。

鏡の国のアリス (集英社文庫)

鏡の国のアリス (集英社文庫)