買ったのはここ
この人の文章は、なんか持って回った言いまわしとかがあってするすると読めないとこがあるのだけど、おもしろかった。
『新寶島』での手塚まんがの特徴は映画的手法を用いたことではなく、1コマ=1カットがメインだったそれまでのまんがと比べて、複数のコマで1カット=シーンを構成していることだとか。それよりも戦時中に描かれた習作「勝利の日まで」で、ディズニー的な非リアルな世界と、死すべき身体をもったリアルな世界をいっしょにしたことの方が大きいとか。
記号的なキャラクターで描くまんがの世界に死すべき身体をもったリアリズムを持ち込むことで、キャラクターは悩み苦しむようになった。
戦争と戦後が手塚まんがに与えた影響や、「アトム大使」がちょうど日米講和条約の時期に描かれていることのつながりも興味深い。
昔読んだ佐藤大輔の『征途』という珍しくちゃんと完結した作品で、第2次大戦後北と南に別れた日本同士が戦い、ベトナム戦争にも日本軍が参加してる世界が描かれているのだけど、そこに出てくる戦闘機の尾翼にロボットの少年の顔が描かれていて「こちらアトム・リーダー」とかいっている。それを読んだ時に、南北に別れた日本にも手塚治虫はいるだろうけど、同じように「鉄腕アトム」を描いてるとは限らないよなぁと思ったもんだった。ここまで深く考えたわけではないけど、やっぱり作品は環境が作るんだね。
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