a_sue’s diary

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『去年はいい年になるだろう (下)』 山本弘 PHP学芸文庫

買ったのはここ
タイムトラベルものとして、これまでになかった展開で面白かった。
作者自身が主人公で、実際の歴史が未来からの干渉で変わっていく話を緻密に組み上げていく。
SFが壊滅してファンタジーは影響を受けないとか、でもまあ、それは割り切って仮想戦記みたいにあり得るかも知れない否定された未来を描くというのもあるんじゃないかと思うが、このなかではそういう流行は起きず、SF作家は構想していた作品を書くことが出来なくて頭を抱えるという展開。
本来の歴史なら世に出た作品が、創作されないことになるからもったいないという話は、アジモフの作品にあるよね。ネタバレになるからタイトルは書かないけど、歴史改変でなかったことになる作品を保存する話。
ほかでは未来の自分からのメッセージで、この10年ぐらいに起きた信じがたい真実が、あり得ないことを言ってくる趣味の悪い奴と否定されてるとこが笑える。
でも最後が説教になっちゃったのは残念。あまりにストレートに語りすぎ。それともぼくが読み取れなかった隠されたメッセージがこめられているのだろうか。
それは些細なことで、全体としては自宅で読みふけり、通勤時も寸暇を惜しんで読んでしまうくらい面白かった。

去年はいい年になるだろう(下) (PHP文芸文庫)

去年はいい年になるだろう(下) (PHP文芸文庫)