a_sue’s diary

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『少年の名はジルベール』 竹宮惠子 小学館

買ったのはここ
ネットに気が散ったりしながらも、ほぼ一気読み。
竹宮恵子がデビューしてから「風と木の詩」を連載した頃までの話で、その大部分が「大泉サロン」の頃。
面白かった。

当時の焦り、羨望、未熟が詰まった、まさに「竹宮恵子アオイホノオ」だった。
落ち着いてマイペースに見える天才萩尾望都は、この頃も、このあともずっとマンガ家なんかやめろという親と戦い続けていたわけだが、そういう事情はこっちには見えてない。
僕が本気で竹宮恵子を読んだのは「変奏曲」あたりからだと思うのだけど、さかのぼって読んだ作品にあまり惹かれなかったのはこういう事情かと思い当たったり。
風と木の詩」を初めて読んだときの第一印象は、萩尾望都の「トーマの心臓」と比べてなんて沢山のコマを使うんだろうってことだったな。凝縮されたコマ運びになれてた人間にはコマを使いすぎてるように見えた。それでも最後まで読み続けたのは面白かったから。
そこに至る経緯がいろいろ書いてあって、増山法恵さんと出会い、プロデューサー的にサポートしてもらった話とか、当時の雑誌に載ってた断片的な情報で増山さんの存在は知っていたが、そんな重要な立場だったとは知らなかった。「協奏曲」にクレジットされてたことすら忘れてたし。ハードカバーを持ってた気がするんだけど、どうだったかな。
その3人+山岸凉子さんの4人でヨーロッパに言ったときの話は、萩尾望都の「モーさま世界を行く!」で読んでるけど、竹宮恵子のは読んだ記憶がない。
ああしかし、80年代前半の少女マンガ何でもあり状況って、こういう戦いで勝ち取ってきたのだなぁと、あらためて思った。
小学生の頃にとなりのお姉さんに借りた別マなどを読んでた時期からしばらく時間をおいて、再び少女マンガを読むようになったのは、すでに「ポーの一族」が全3巻だったり、和田慎二が「銀色の髪の亜里砂」を発表したりしてた頃だった。目の前でいろんな事が変わってたのに、あまり意識しないまま見てたのだなぁ。
この本を読んでいろいろ考えを新たにしたことが多かった。
それにしても、一番感情を揺さぶられたのは「風と木の詩」最終巻の話だった。ちょっと泣けましたよ。

少年の名はジルベール

少年の名はジルベール