買ったのはここ。
a-sue.hatenablog.com
ずいぶん長いこと寝かせてたけど、着手してからは早かった。
『源氏物語』を当時の人がどういう風にして読んでいたかから始まって、〈読書の黄金時代〉20世紀を経てみんなが本を読まなくなっていく流れを追う。
冒頭で『更級日記』に出てくるという13歳の少女が『源氏物語』を手に入れて読みふける話
これまで飛び飛びにほんの少しずつ読むだけで、あまり納得がゆかず、いらいらしていた源氏の物語なのですが、それを第一の巻から、誰にも邪魔されず、几帳の中にこもりっきりで、一冊一冊取り出して読んでゆく心地、もう后の位だって問題じゃないと思うくらいでした。
ああ、わかるわ。
物心ついた頃、マンガの単行本なんてなくて、連載中の作品のそれ以前の話がどうだったのかわからずにモヤモヤしてたあの感じよ。
手書きの写本から印刷技術が出てきて本の量が増えることで読める人も増えるとか、音読か黙読かとか、いろんな角度から時代ごとの読書を論じる。
20世紀中盤に生まれて、本を読むのは当たり前だし、本を買うのも当たり前、図書館で借りられるのも当たり前だと思ってたのが、実は歴史の中では特殊だったというのは目からウロコ。
今の家族制度など明治からの僅かなものだという話を耳にしたりしてるのに、なぜ読書体験は普遍的なものだと思ってたんだろう。
資本主義の中で出版がかたい本から沢山売れるやわらかい本に変わっていくのを目の前で見て来たというのに。
というわけで、とても面白かった。
この本は紙で買ったのだけど、本で部屋があふれてかみさんにぶち切れられたことがある身としては、場所を取らない電子書籍はありがたいのよね。
と言いながら、毎月紙の本を何冊も買ってるんだけど。