a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『月刊 鉄道模型趣味(TMS) 2022 9 No.968』 機芸出版社

表紙がいきなりレトロ調。
ロゴは、「編集者の手帖」によれば1949年5月号(No.12)から1951年12月号(No.39)まで使用されたものとのこと。
表紙を飾っているのは 75/150 アニバーサリー・チャレンジ グランプリの「1949年 草軽鉄道 来た軽井沢駅界隈(蘇る記憶のために)」。
なんかすべてが凄い。
編集者の手帖によれば、隅から隅までよく見るとちょっとした遊び心が仕込んであるとのことだけど、見つけられなかった。

ページをめくると旧1号に掲載された山崎喜陽氏による「創刊に際して」。
続けて現編集長名取紀之氏による「創刊75年を迎えて」。
3年前に経営も編集体制も変わったわけだけど、その頃一読者として感じてた編集部の高齢化と継続の不安は、実際に危機としてあったのだなとわかる。
今後も長く続いてくれることをお祈りいたします。

で、75/150 アニバーサリー・チャレンジ グランプリの「蘇る記憶のために 1949年 草軽鉄道 来た軽井沢駅界隈(その1)」。
カルメン故郷に帰る」のファンで、映画が撮影された時期の駅界隈の風景を再現したかったと。
a-sue.hatenablog.com
1/45 という大スケールで、写真も大きく掲載されているのもあって、ほとんど実物。
駅舎内の事務室の作り込みとかもここまでやるんだという感じ。
素晴しいです。
今回は完成写真だけだったので、次号の制作工程についての記事も楽しみ。

続いて準グランプリの「伊藤 剛 模型鉄道館」1/48・32mmは博物館として設立順備中のOゲージレイアウトと、その周辺の諸々。
車輌を見せることを主目的とした運転レイアウトは、線路回りの一部のストラクチャを除いて一切のシーナリーを持たないもの。
記事の終わりに Youtube の url が書いてあったので見てみたら驚愕。

www.youtube.com

Only one steam engine pulls these 119 cars on 1.56% grade.

この記事で語られているOゲージの走行回りのメカニズムを目の当たりに出来る。
こんな長大編成の牽引走行は、イベントで展示されるNゲージのモジュールレイアウトでも見たことがない。
そのほかに書かれてた url は以下の通り。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com
凄いなぁ。
蔵書はTMSが全部揃っているとか。
博物館が公開されたら見に行ってみたいが、記事内には場所の記述がない。
江戸時代からの宿場があった小さな町ってどこかな?

アニバーサリー・チャレンジ 編集部特別賞の「Oスケール 鉄道模型のための樹木」。
1/48 という大きさはあるにしても、樹木の樹皮とか、針葉樹の葉っぱを静電気を使って草を植えるシステムで表現するとかその細かさが凄い。

10台のブロックで構成する分割式Nゲージレイアウト「明徳寺鉄道」建設の記録〈その2〉は第6~第10ブロック。
第6ブロックはNゲージマガジン64号に掲載されているとのこと。
a-sue.hatenablog.com
Nゲージファインマニュアル2号にも載ってるそうだけど、持ってない。
どのブロックにも形態の違う鉄道橋があって、さらに歩行者用の橋もトラスだったり吊り橋だったり。
第10ブロックはプラットホーム・駅舎とその周辺。
これも沢山の樹木とか含めて作り込みが素晴らしい。
最後に全体を組み立てた状態の写真があって、シンプルなエンドレスだから小さなコントローラーひとつで運転できると。

製品の紹介は、本号では珍しい通常記事。
関水金属415系100番代(常磐線国鉄標準色)のカラー写真が。
九州じゃないけど、ちょっと欲しい。買えないけど。

創刊75年記念新連載第1回 車輌の外部色。
『車輌工業デザイン11・車輌の外部色』(1977)と『車輌の外部色14・車輌の外部色II』(1985)から、色彩についてのいろんな話。
昭和30年代 車輌の色彩とか、様々な型式の寸法の入った塗り分け図に色が付いたもの。
クハネ583とかクハ421、クモハ455、営団 6000系など、おなじみの型式もあってうれしい。

「特別企画 レイアウトシーンの宝庫 ピーコックを追って 自転車で魔境・葛生の最深部へ」
葛生ってどこ?なんて読むの?と思ったら「くずう」でした。
葛生町 - Wikipedia
昔の実物写真なんだけど、1962年にカラー写真とかなかなか珍しい。

新連載 昭和広告逍遥は片野正巳さん。
6号(1948年5月号)の表3に載った模型店の広告がまるまる載ってて、当時の時代背景とかについて語ってある。

私見 TMS75年史は、読者の人がTMS全号についてまとめたリストが11ページ。
号、年、月、定価、代表的記事など。
自分が買い始めた271号からしばらくの間は割と記憶にあるが、だんだん物量に埋もれて個々の記事を思い出せなくなるな。

続けて「103冊のTMSを顧みて」という1956年10月号より再録の記事が3ページ。
各号の掲載記事と周辺状況とか。実物記事が載った理由、載らなくなった理由など、時代がわかって面白い。

というわけで、読んでも読んでも終わらない記事が沢山で時間がかかった。
たっぷり楽しみました。
Nゲージファインマニュアル、書泉グランデあたりならまだ持ってたりするかなぁ。