a_sue’s diary

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『描きかえられた『鉄腕アトム』』 小野卓司 NTT出版

買ったのはここ
他のをとめて読んだ割に時間がかかった。図版多数で、350ページの割には文章は少ないはずなのだけど、図版(要するにマンガ)部分をじっくり見てしまうのでそれなりに時間がかかる。おもしろかった。
著者は1949年広島県生まれのNHKアナウンサー。年齢から言ってまだ現役なのかな?二人の兄から引き継ぐ形で雑誌掲載時のオリジナルを読んで、中学生になってマンガを禁じられ(1962年ぐらいだから、「宇宙の寄生虫の巻」の頃?)、その後大学生の頃ゴールデンコミックスで読み返して記憶との違いを追いかけ始めたとのこと。
僕は1957年福岡の生まれなので、地方都市という条件は同じだが、近所に貸本屋があった分恵まれているか。年上の従兄や近所の友達の影響があったとはいえ、鉄人ほどは覚えてない実写版アトムや、何よりテレビ漫画のアトムから入り、カッパコミクスは「ZZZ総統の巻/赤いネコの巻」を買ってもらったほか、ほとんどを友達のものや貸本屋で借りて読んでいる。雑誌掲載版はリアルタイムが1964年の「地球最後の日の巻」の途中から。
ということで、ちょうど入れ替わりで読んでいる感じになるかな。だから僕が知っているオリジナルのアトムは、アニメ以後。それ以前のものはカッパコミクス版が原体験と言うことになる。以前、アニメ以前のアトムはだいぶ雰囲気が違うんだということを年上の人に言われたことがあるが、この本で整理されている改変内容を見るとなるほどと思ってしまう。特にカッパコミクス版はページ数の制限がきつくて削除部分が多いほかに、低年齢向けのセリフの改変などもたくさんあって、オリジナルが持つ被差別民としてのロボットの描写・問題意識とか、登場人物の葛藤を描いたシーンとかがかなりなくなっているようだ。
復刊ドットコムの「鉄腕アトム 雑誌『少年』版 」に投票しているけど、この本を読んでますます雑誌掲載版を読みたくなった。
鉄腕アトム 雑誌『少年』版 手塚治虫 復刊リクエスト投票 - 復刊ドットコム

描きかえられた『鉄腕アトム』

描きかえられた『鉄腕アトム』