買ったのはここ。
収録作品は下記
社員たち | 北野勇作 |
忘却の侵略 | 小林泰三 |
エンゼルフレンチ | 藤田雅矢 |
七歩跳んだ男 | 山本弘 |
ガラスの地球を救え! | 田中啓文 |
隣人 | 田中哲弥 |
ゴルコンダ | 斉藤直子 |
黎明コンビニ血祭り実話SP | 牧野修 |
Beaver Weaver | 円城塔 |
自生の夢 | 飛浩隆 |
屍者の帝国 | 伊藤計劃 |
当初のお目当ては、知るきっかけになった山本弘と、単行本になってるのは全部読んでる小林泰三だったのだけど、よく見ると田中哲弥も載ってた。
田中哲弥は、『やみなべの陰謀』、大久保町3部作、『ミッションスクール』を読んでるので、実は山本弘より読んでる率が高いのだけど、今回しみじみとやっぱりこのセンスは合わんと思った。朝の電車で田中哲弥を読んでて、気分悪くなって来ちゃったもの。
それはさておき、小林泰三「忘却の侵略」は、改変しうる現実というか、量子力学的世界の描写が、この人らしくて面白かった。
山本弘「七歩跳んだ男」は本格ミステリー。月面での死亡事故を巡っての推理の展開。明らかになる意外な事実が、こうきたかというおもしろさ。
藤田雅矢「エンゼルフレンチ」は、もうひとつの「ほしの声」。人格転移については、40年ぐらい前読んだ平井和正の短編で初めて知った考え方が非常に強烈だったので、ついそれと比較してしまう。
「黎明コンビニ血祭り実話SP」「Beaver Weaver」「自生の夢」の3作は、奇しくも同じような切り口で描く世界のシンクロニシティが面白い。この系統のSFはあまり読んでないので、するすると読み進むことができなくて、ちょっと戸惑いながら読んだ。こういうのもありなんだという感じ。
そして最後の伊藤計劃「屍者の帝国」。作者は先日なくなったということで、その情報は何となく知ってたが、作品をまったく読んだことがなくて、これが初体験。語り口がすごくなじんで、わりと好き。これからってところで終わってるのが残念。出版されてる著作を追いかけてみるかなぁ。
というわけで、1冊たっぷり楽しんだ。