買ったのはここ。
1996年に書かれた本に、2000年の文庫化の時のあとがきと、今回の文庫化に際して富野監督との対談と新たなあとがきを追加したもの。
本文に関しては発表時のままで、注すら入ってないため潔いくらい当時のまま。その後出た本で明らかになった事実と食い違ってる記述に関しても注すら入っていない。
目次を載せようと思ってググったら、初出版のテキストがネット上にあった。
http://netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/otakugaku/mokuzi.html
最初のオタクってなに?という話。第1世代オタクに属すると自分で思ってるわたくしには、いちいちうなずける内容で、なるほど、自分の行動をテキスト化するとこうなるんだなという気分。スタッフによる作画の違いを強く意識したのは『エースをねらえ!』だった。今回は絵が良かったと思った回は、必ずマッドハウスだった。それは『ハイジ』で旧東映系の方々の名前を意識する半年ほど前のこと。でもまあ、ここに書いてあるレベルにまではとうてい達してなくて、そういう意味では「まだまだ」のまま現役を引退してしまったことになる。
オタクはこんな風に見ている、「粋」の眼、「匠」の眼、「通」の眼。いやぁ、そこまで見ますか。内容はおもしろいが、自分ではとてもそんな分析はできないぞという世界に突入。
最後のオタク文化論で、日本文化の正当な後継としてのオタク文化が提示される。このあたりは前著『ぼくたちの洗脳社会』にも通じるところがあり、この本もブログをさぼってたときに読んで、SF者の価値の相対化をここまでつきつめるのかと感心したものだった。
ちなみにこれもテキストがネット上にある。
http://netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/bokusen/mokuzi.html
12年前に書かれた本なので、虫プロのアトムの制作費の話や、それに関連するスタッフのギャラの話、富野監督が対談で否定しているビームサーベルがライトセーバーのパクリ説など、事実と異なっていることが明らかになってるネタがある。それを今指摘するのはあと知恵というもので、当時は知りようもなかったのだが。まあ、オタクがえらそうに披露している蘊蓄が必ずしも正確とは限らないということを図らずも示す結果になっていて、それも含めての「オタク学」「オタク道」であろう。
- 作者: 岡田斗司夫
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