a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『アップルを創った怪物 もう一人の創業者、ウォズニアック自伝』 スティーブ・ウォズニアック=著 井口耕二-訳 ダイヤモンド社

買ったのはここ
原題は『iWoz』で、Gina Smithがウォズの語りをまとめたものらしい。
読み終わっての印象は、ウォズってのは天才的なエンジニアではあるが、大きな子供のような人なんだなということ。
子供の頃からエンジニアであった父にエンジニアリングの基礎を教わって、電子回路のなんたるかや設計と工作についての経験を積んでいたと。高校生の頃には市販されているコンピュータを独自に再設計するようになる。そして、キーボードとディスプレイを備えた現在のパーソナルコンピュータの基本フォーマットを作り上げ、Apple 1、Apple IIをほとんど一人で作り上げた。
その後のアップルでの活動についてあまり書かれていないのは、ウォズにとってあまり重要なことではないからなのだろう。むしろ大規模なコンサートを主催してソ連と衛星中継でつないだり、万能リモコンの会社を興したりというということがメインになる。
これまで漠然と知ってたウォズのイメージよりもさらに天才的な能力を持った人であると再認識したが、同時にまたエンジニアリングに天才的な能力を持っているだけではだめで、ビジネス面で突き抜けたことのできる才能(ジョブズのような)が必要であることも痛感した。多分ウォズがジョブズと出会ってなければ、HPのエンジニアとして余暇にオープンソースハードウェアを開発するハッカーとして幸せな一生を送ることになったかも知れないが、Apple IIで世の中を変えたような業績を残すことはなかったに違いない。
それはジョブズ復帰後についてウォズが書いている。iPodジョブズが復帰する前のアップルが低迷していた時期に開発されていたと。でもそれで世の中を変えるにはジョブズが必要だったのだ。
かくして、読者であるわたしはウォズが主張していることとは違うことを受け止めたのである。アップルを辞めた時、不満はあったがそれは原因ではないとはっきり言ったにも関わらず、ウォールストリート・ジャーナルには「不満があって辞めた」と書かれたように。