a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『海の底』 有川浩 角川文庫 角川書店

買ったのはここ
堪能しました。
横須賀の米軍基地を遅う巨大なザリガニの大群。その中に取り残される潜水艦の15人。
怪獣映画のような展開をきちんと怪獣ものとして成立させながら、自衛隊がそう簡単に戦車を出して大砲を撃ちまくれない現実をきちんと描く。さらに米軍との駆け引きもあって、ネットを通じて情報収集するとこがリアルだったり。さらにいいのは、作中の人物たちが、僕らと同じ映画を観て育ち、同じテレビ番組を観てるということ。一番最初の「ゴジラ」の時はともかくとして、少なくとも平成の世に生きてる人たちが怪獣映画を観たことがないなんてあり得ない。そこら辺もちゃんと描いてあるとこがうれしい。実は、平成ガメラですら、登場人物が怪獣映画を見たことがあると匂わせたことがないのよ。そこが密かに惜しいとこだと思ってたので、この展開は素晴らしかった。
怪獣映画の影では、しっかり恋愛ドラマが展開されていて、またこのドジッ子ぶりがかわいいんだ。その恋愛ドラマも単純な構造じゃなくて、これがまたいろいろとあっていいのよ。少年の成長ドラマまであるし。何でこんだけの要素を詰め込めるんだろうこの人は。いや、何でこれだけいろんなものを描けるんだろう。
というわけで、大変満足の1冊でありました。

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)