a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『少年サンデー版キャプテンKen限定版BOX』 手塚治虫 小学館クリエイティブ

初出 週刊少年サンデー 1960年12月18日号〜1961年8月20日
届いたのはここ
って、同日に読了しちゃったのでわざわざ分ける意味がなかったかも知れないが。
カラーも二色も完全再現。すばらしいです。残念ながら、既刊を掘り出せないのでどのくらい変わってるのか詳細な比較は出来ませんが。
おおざっぱな記憶で、これまで読んだ単行本ではどれも舞台設定を最初に説明してあったと思うのだけど、この連載版を見ると、初回の扉で

このものがたりは西部劇ではありません。みなさんが、あっとびっくりするような、ある世界のものがたりです。

と書いてあるだけ。舞台が火星だとわかるのがやっと第3回。そうだったのか。
火星が舞台だとわかってから扉の背景が宇宙の風景になり、第8回からは「宇宙時代の大長編科学冒険まんが」というあおりになってる。
初の人工衛星スプートニクが1957年、ガガーリンの初の有人宇宙飛行が1961年4月なので、この頃は宇宙開発が始まったばかり。アメリカが本気になるのがもうちょっとあとだけど、宇宙が身近になってきた頃と言っていいのかな。
全集のあとがきにあった、ケンの正体は誰か当てるクイズが何度も出てきて、応募数がどんどん増えるのになかなか正解が出ない。
締め切ったあと、自白機にかけられて正体がわかる。そこが単行本でカット。そのあと囚人輸送機の窓から水上ケンを見て「おかあさん」と叫ぶところは単行本にもあるので、ちょっと突然な印象があったのだけど、この流れなら読者の知識をメインで考えればありかなというところ。
宇宙と時間と美少女という、SF向きな要素をてんこ盛りにしたこの作品の魅力は、50年の時を経ても少しも色あせない。
考えてみれば、僕が水上ケンに夢中になったのは、ケガをしたシーンを見たからだった気がする。「ビッグX」のニーナも機銃掃射でやられるシーンのインパクトが衝撃だったし、傷ついた美少女というのは魅力的なのだなぁ。

ところで、この連載版の再現ぶりを見ると、鉄人の仕事がすごくものたりない気がするんですけど。小学館クリエイティブで、鉄人の連載を各回扉網掛け二色フルカラーを全部再現して出し直してくれないかなぁ。
国書刊行会が出す「W3 ワンダースリー」は、ちょっと高すぎるんだけど、どうしたものかなぁ。
あ、「ビッグX」もよろしく。