a_sue’s diary

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『さようならアルルカン/白い少女たち 氷室冴子初期作品集 (集英社単行本) Kindle版』 氷室冴子 集英社

初出一覧

さようならアルルカン コバルト文庫 1979年12月刊
あなたへの挽歌 小説ジュニア 1978年12月号
おしゃべり 小説ジュニア 1979年4月号
悲しみ・つづれ織り 小説ジュニア 1977年12月号
私と彼女 小説ジュニア 1980年6月号
白い少女たち コバルト文庫 1978年10月刊

中4作が単行本未収録だったそうで、一時期氷室冴子の手に入る本は全部手に入れたつもりだったので、「さようならアルルカン」と「白い少女たち」は多分読んだことがあるはずと思って読み始めたんだけど、まったく記憶になかった。
忘れ去ってるのかと思ったのだけど、記録をチェックすると実はどっちも持ってなかった。

というわけで、幸せなことにこの歳になって初めての氷室冴子作品を単行本まるまる1冊分読むことが出来た。
どれも細やかな心理描写が素晴しい。自分が中高生ぐらいの頃のいろんな感情がよみがえっていろいろと心を揺さぶられた。
反面、北海道出身の独立した女性らしい男性観というのもちらちら顔を出してて、どの作品でも男はろくなもんじゃない。
個別の感想はやめておくけど、「白い少女たち」は、のちの「クララ白書」「アグネス白書」につながる寄宿舎もので、でもユーモアの要素は少なくて結構ヘビーな展開。重かった。

巻末にたどり着く前に初出をチェックしようとして検索したら引っかかったのがここ。
www.nununi.site
え、その本持ってる。まだ読んでないけど。
a-sue.hatenablog.com
なんだこの本に情報があるのか。
と思ったら、巻末にちゃんと初出一覧があった。それを見て愕然。どれも大学生ぐらいの年齢で書いた作品じゃないか。
あの頃のいろんな想いを作品にこめたのかもしれないけど、初出時に読んでたらもっと刺さったかも。今読んですらこんなに響いてるのに。
で、今から40年以上前になるという事実に愕然。
僕が若い頃に、例えば石坂洋次郎が書いた「陽のあたる坂道」が出たのが20年ぐらい前。昔の作品だと思ってたし、結局いまだに読まないまま。
そう考えると本書に収録されてる作品の倫理観や価値観は若い人には理解できないかもしれないな。
とか思っちゃったり。

とにかく、ほんとにこの本を読んでる間幸せだった。
ありがとう、集英社