a_sue’s diary

a_sue の日記 はてなブログ版

『図説 鉄腕アトム』 森晴路 河出書房新社

買ったのがここなので、3ヶ月弱で読了。
a-sue.hatenablog.com
着手からだともっと早いですけどね。

ディープで素晴しかった。
アトムの連載時から、アニメ化などの時代による変遷や、バリエーション的な作品までを網羅して解説。
2003年に刊行されたふくろうの本の新装版だという話は奥付に書いてあった。
復刊ドットコムの『鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集』が出たのが2009年からなので、この本が出た時点で初出版を読んだことがあるのはごく一部の人だけだったはず。
各話について、初出とその後の差異を解説してある部分は出版当時も貴重だし、現在刊行中のオリジナル版を読みながら疑問に思った部分の答が書いてあったりして今も貴重。
青騎士」の解説に

手塚治虫には「青騎士」がアトムの最後というイメージだったのかもしれない。

と書いてあって、「地球最後の日」の終盤から連載をリアルタイムで読んでいた当時小学生の私も、なんとなくそのあとは番外編を読んでるような印象を受けてた。
まあ、修理されたアトムがそれ以前と別人になってたってのはあるが。
手塚治虫がアトムについて語ってる話も時代ごとにいろいろあるけど、オリジナル版を読み始めて、特に初期の部分で感じた被差別民としてのロボットとか、「赤いネコ」などの環境破壊への警鐘についての話とかが常に手塚治虫の頭にあって、それがアニメ版でいい子の正義の味方になってしまって後々まで世間も周囲もそれに引きずられることになった不満とかちょっと同情しちゃったりして。
森晴路さんももう故人になってしまったそうだけど、貴重な本をありがとうございました。

それにしても、あの時どうしてもうちょっとちゃんと平積みをチェックしなかったのか。
今も書店店頭にある帯ありを見るたびに悔やむ。
もう1冊買うという手もあるのはあるのだが、、、