a_sue’s diary

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『狙撃 [DVD]』 東宝

加山雄三主演の伝説のガンアクションムービー。1968年作品。
欲しいリストに入れてあったんだけど、気がつけば品切れ状態になってて諦めてたら、土曜日に在庫1点ありになってたのでポチッとして月曜に到着。
その日の夜中に一度見たんだけど、その後のコメンタリーを聞くと意識がそれてたりして見落としがあるようなのであらためて火曜の深夜に見直したが、映画の中では特に表現されてない情報だったりしてだいたい見てたとわかった。

この映画は昔テレビでやったのを見たと思ってたんだけど、記憶にある映像が出てこなかったので別の映画だったのかも。実銃を使ってるとこは同じだと思うんだが。
冒頭の狙撃シーンで、加山雄三がタバコの煙で風向きを確認した後もみ消した吸い殻をポケットにしまう。証拠を残さないための行為なんだけど、当時の観客は「シケモク持って行くのかよ」と笑ったと語ってたのはトビー門口さんだったかな。
いやあ、この一連のシーンだけでもう見るポイントたくさん。
バッグから取り出したライフルにはスコープが取り付けられていて、その場でセットしてネジを締めるようなシーンはない。スコープは銃と一体であり、一度外したらきちんと試射しない限りねらったとこに行かない。映画の中では現場で取り付けるシーンが描かれることが多いのだがそれは噓。というのは大藪春彦の小説で学んだ。
ライフルの構え方が、スリングを銃にセットして左腕側で張った後ストックを右肩に当ててから右手を銃把に添える。標的射撃の構え方よね。
ボルトオープンのまま、標的が通る線路上をねらって想定される動きに合わせて銃を振る。
弾丸を一発だけ上から装填してボルトを閉じる。
事後はボルトを引く時に手を添えて薬莢を受け止めそのままポケットにしまう。
これを1968年に日本で撮ったのかー。アドバイザーに国本圭市氏がついてるんだけど、それにしてもリアルさ半端ない。あとのコメンタリーでこの頃20代の若者だったと語ってるが、そんな若者によく仕切らせたね。
そして加山雄三が乗ってる車がトヨタ2000GT。サーキットの走行シーンもあるけど、当時憧れのスポーツカー。カッコイイ。
射撃場では標的射撃用のライフルを撃つシーンや、クレー射撃の散弾銃が出てくるが、どう見ても実銃。
岸田森が米軍基地の近くでガンショップをやりながら裏で加山雄三に銃を用意したりする役で、作業場では弾丸を手詰めするシーンも出てくる。このあたりの描写も邦画ではあまり見ない。洋画でも少ないか。
敵役の森雅之モーゼルミリタリーを使ってて、トランクの隠しスペースにバラバラで収納されてたパーツを組み立てる。黒光りする銃が美しい。
このモーゼルは射撃シーンもあって、組み立てに使ったのとは別物だそうだけどちゃんと排莢してる。時代を考えるとレベルを超えたリアルさ。
米兵がベトナムから持ち帰ったAK-47に赤外線スコープを付けたという代物が出てきて、これがまたいい雰囲気。フルオート射撃の前にセレクターを操作するシーンをしっかり入れる。
加山雄三がショルダーホルスターに入れたリボルバーを左手で抜いて右手でファニングするファストドロウの練習をするとこ、早くて無駄のない動作が美しい。
その前のシーンでダブルアクションのスナブノーズリボルバーを使ってたので、ダブルアクションにファニングはどうなのと思いながら見てたら、本編中ではハッキリ説明がなかったがこのリボルバーはシングルアクション・シングルショットのルガー・ホークアイなのだと。恐れ入りました。いや、最後のシーンでハンマーを起こすとこがアップで映って、あれ?シングルアクションのやつ?サイトを見るとブラックホークとか?と思ったんだが、まさかそんな変わり種が出ていたとは。
銃の選択から扱い方のディテールまで、噂に違わぬ凄い作品だった。

狙撃 [DVD]

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以前赤木圭一郎の『紅の拳銃』を見てるけど、
a-sue.hatenablog.com
この頃ってガンマニア向け作品がいろいろあって、まだまだ見てない名作があるなぁ。