買ったのはここ
国鉄がJRになるあたりからこれまでの話。
目次
序章 | JR東日本の誕生まで |
第1章 | ハードもソフトも、すぐに大転換 |
第2章 | 列車サービスの改善 |
第3章 | まず安全、そして近代化とデザインの革新をめざして |
第4章 | 談合と天下りとの決別めざして |
第5章 | 技術をインソーシング化する |
第6章 | 駅ナカとSuica革命 |
終章 | これからのJR東日本 |
分割位置の話から、情報システムの開発、自動改札に新型ATS、新しい電車、新津製作所、東北縦貫線の計画とか、いかに変わってきたか。身近に見てきた変化の話がいろいろあって興味深い。
国鉄の組合と職員局、経理局が腐ってた話とか、天下りと談合の体質とかそんなこんながあるが、談合を廃して車両価格を下げさせた話でメーカーの幹部に「あなた一人のお陰で、日本の車輌製造業界はめちゃくちゃになってしまった」といわれている(P.187)。
談合ってそんなに悪いことなのだろうか。メーカーが適正な利益を上げられない価格競争になってしまう入札制度には疑問があって、たとえばこのとき821両を受注したメーカーは全部を製造するキャパがあったのだろうか?技術が進歩しなくなっていたとか、製造の改良を図る努力をしなかったとか言うのはほんとに談合とセットになる話なのだろうか?
言葉が足りてないが、「談合は悪」ということにはなんか納得できないものがある。値下げ合戦になってみんなで滅びていくだけのような気がする。結局そうやって談合を廃して値下げ競争になったあたりから、メーカーに金が渡らなくなり、給料が上がらなくなり、消費が伸びずに日本全体がどんよりしてしまったのでは?
P.225〜6あたりの、ニコンに開発してもらったレールの継ぎ目幅自動計測装置は3台で充分だった話。「かなりの開発費をかけられたと思うので、ニコンには申し訳ないことになった。」という言葉は、購入価格には開発費分を含んでないということで、メーカーからしたらそれはつらい。なんかもっとみんなでしあわせになる方法があると思うのだけど。
終章あたりで、国家的な使命感を持ってやっていくことの重要性をといている。民営化の際に言われた安全が犠牲になるということはなかったが、同時に言われていた赤字ローカル線の切り捨てについてどうなったかは何も書かれていない。その辺どう判断し、どうしたんだろう。
ともあれ、全体としてはおもしろく読んだ。
- 作者: 山之内秀一郎
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2008/02/16
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